現在、虫歯を総合的な視点から考える『カリオロジー』という研究が進歩し、虫歯の原因は明確になっています。虫歯の原因は、バイオフィルム(虫歯菌の集合体で歯の表面にできる膜)にあります。
このように、虫歯予防のためには、虫歯の原因をきちんと知る必要があります。
歯は体の中で一番硬い組織です。それにもかかわらず、虫歯菌によって歯は溶かされてしまうことがあり、この状態を虫歯といいます。しかし、唾液には虫歯菌に溶かされた部分を修復する再石灰化という大きな役割があるため、歯を元の健康な状態に戻すことができるのです。
日本の子どもの虫歯は20年前に比べ減少していますが、歯科医療先進国である北欧と比べると多いと言わざるを得ません。しかしここまで日本の子どもの虫歯が減少したのは、フッ素入りの歯磨き剤が普及したからだといわれています。
フッ素は自然界のあらゆるものに含まれており、歯質を強化する働きがあります。フッ素を歯に塗ると、歯の成分であるハイドロキシアパタイトと結合してフルオロアパタイトとなり、虫歯菌への抵抗力を発揮します。これにより、歯の表面が強くなります。
フッ素は2通りの方法で取り入れることができます。一つはご家庭でフッ素入りの歯磨き剤やスプレーを使って低濃度のフッ素を取り入れる方法で、もう一つは年に3~4回ほど歯科医院で高濃度のフッ素を歯に塗ってもらう方法です。両方を組み合わせて、さらに効果的な虫歯予防をしましょう。